東大HSP第6回ノート(医療の評価システム)

最近日記をサボっていました…
おとといのノートをアップしてみます。

              • -

1117 病院と医師の質の評価

主な論点
・質の評価の目的
・だれが、なにを、どのように?
国民の選択の方法は?
・開示方法は?

<< 長谷川先生 >>

4つのテーマのひとつが、「病院管理」

実習「選びます! 病院選びの本」

 立場によって、知りたい情報は違うはず
 「一般的な評価」はありえない


質問「病院の何を評価する?」

・心臓外科の評価を聞く
・人工関節を入れるときの感染症が2.5% それが病院によってどう違うのか?
・「これだけできる」ではなくて「有害事象」「安全と質」を聞きたい
・標榜科目だけではむずかしいだろう
・器用さ  手術の件数

・三宅
  ハードや、評価しやすいもので評価してきた
  が、本当であれば結果で見るべき
  なので、プロセス、数を測ろうとしている
  
  それが、点数化されれば…
  診断がついたら、どこに行けばいいのか、という判断材料がほしい

朝日新聞
  どんな医師、どんな実績、が患者の立場からはまったく分からない
  「自分の病気を治せる先生がいるのかどうか」
  をかなえたかった

・亀田先生  経営者として
  評価を小さく捕らえてはいけない
  どんな評価をなんのために使うのか、を明確にしないと

具体的な疾患を、のとき、具体的な指標はあるのか?

・院内感染の率
 IVHの感染の率とか 知りたい (プロの意見)

・患者本をつくる立場から
 骨髄腫であれば、それぞれのDrの経験
 しかしその情報は現存しない


…結局立場によって方針が違う

われわれは、「結果」がきになるの?「プロセス」が気になるの?

この数年間で、いろいろなランキング本がでた
プロの評価もいくつかある


病院を巡るステーキホルダー 

(→論点整理用スライド資料へ)

医療の質の概念も、固まっていない
 満足だけで評価しているころもあった
 
 長谷川は、「安全・良質・満足」そこからの<信頼>


●質問

●評価フォーマット
 患者さんは、マスメディアや本の影響をもっとも受ける
 こういった本について、専門家としてどう考えているのかしりたい

→自分は今日はアシスタント
 もう少し絞ってほしい

●手間のかけ方に、差が相当ある
 血液型占いに近いような、患者さんに迷惑なものもある

→患者さんは、細かい情報がほしい

●研究者として指標を開発しているが、
 その指標は開発されるべきだと思っている?
 
→作った人の立場によるだろう
 自分が作ったものは、評価機構のものだから、グループ内でとどめている



<< 埴岡先生 >> 客観的指標とはなにか?

かなりミクロにやるべきである

「患者の選択の視点」が重要
そこに役に立たなければ、役に立たないものであろう

具体例:急性骨髄性白血病

「どこにいけばいい?」「どうやってえらべばいい?」

…どこも同じ?
 なかなか分かりにくい情報ばかり…

「どこの成績がいいですか?」
⇒「はい、お教えしましょう
  個別にあなたについての成功率はわかりませんが」

例:全米骨髄バンクの病院別成績係数

 …病院によって、かなり違かった
 
病院は4ゾーンに分類できる

 症例多くてよい
 少なくてよい
 少なくて悪い   ⇒「行ってはいけない」
 Big & Bad player ⇒「やらせてはいけない!!」

 …質が変わればよくなるのでは?

 しかし! 個別の病気では、
  ランキング本によって、評価がぜんぜん違う!


 患者は、「一般の病気」にはかからない
  「個別の病気」にかかる


で、日本では?
病院別の骨髄移植件数も分からなかった
「そんなもの出したらたいへんなことになる」とDr思っていたが、
出してみたら当たり前に。
  学会重鎮は怖がっていたが、アンケートしてみたらOKだった

ただ、4件とか3件とかしていないところで、統計的に意味はある?
…下手にやるより、施設に集めたほうがいいのでは?

   BBpleyerもいるが

 退場させないといけない!!
 
 数だけで評価していいのか? 質を評価しなければいけないのではないか?

例2)肺がん
 やはり違いがあるようだ

 「先頭集団をつくって、みなが追いつこうと努力する」
 ような状況が必要では?

 下のグループの底上げをすることで、数万人が助かるのでは?


計測と開示
 8割はOK 2割は強烈な反発
 
(理由)
 意味のない数字
 患者選択を生む
 特定の病院へ集中
   などなど…


埴岡  技術・満足・機能 でやった
 が、連関が全然なかった…

技術と患者満足は相関しない!!
 優しくて、腕の悪い病院に患者さんはいきがち!

 結果がなんぼ!!!

何が医療の質を「保障」するのか?
外形でなく、実質で評価しないと


で、ランキング本
 具体的な患者さんには役に立つのか?


理想のランキング

 疾病別
 4つの軸
 アウトカム重視  などなど

患者がプッシュし、
 誰かが編集し
  患者に届ける、という役割が必要だろう


  ☆医療を動かす!!
  
    理想の病院ランキングプロジェクトを ここで!


質問

ナショナルセンターは、ものすごくお金が投じられた
 みんなだまされている
 が、虎ノ門に、がんセンターから、
  腎臓・呼吸器、などなどが悪いものが、うちでは処理できないと
  みんな流されてくる
 患者選択をしている

ターミナルケア
 などなどをきちんと評価しないと
 総合センターを併設しているかどうかなど、評価すべきだと思う

 4000人のDrに聞いてみても、がんセンターがいいと言っていた
 とくに理由はないだろうが

アメリカの例は、質はどう評価した?

→症例ごとにオッズ(リスクで)をつけた

●気をつけるべき
 大きなセンターは、悪い症例が集まる傾向あるから、気をつけないと
 
 あと、症例が少ないと、どうしても統計が取れないので、優劣いえない

→症例を集めてしまえば、統計が取れないような状況はなくなるのでは?


<< 亀田先生 >>

医療者の立場からのコメント

3日前、瀬戸山先生から、このコースは非常に大変だと聞いていた

・評価本
  何番になるのかも、何をもって評価されるのかも、まったく分からない

 初期にアンケートだけ、ということもあった
 アンケートを出すと、のられちゃう
 
 答えないことがあった
 そうすると、当然載らなかった
 そしたら、銀行から電話が来た…
  なにがあっても、アンケートに答えなければいけない現状

現実に、病院全体としてデータをどこまでつかんでいるのか?

亀田の例
 指標にしたがって記入している
 が、レトロスペクティブにデータを評価できる病院はひとつもない
 データウェアハウス、統一していかないと
 それにそって、自分たちもデータを集めたい


評価
 学会レベル 医師 「専門医」すでにさまざまな評価がされている

 しかし、制度とまったく連携していない
 
 いらない規制はたくさんあるのに、必要な規制がない!
 
 なぜか
 医療者に都合のいい指標であったからだ
 
例:情報公開と言いながら…
 誇大広告は、病院でなくても別に犯罪。
 なのに、麻酔科医が一人もいなくても手術できてしまう日本
 NICUなくても異常分娩できちゃう日本
 
 臨床していなくても、開業できてしまう

 研修医マッチング
   大学の状況と市中病院の状況が一変した
  制度と結びつけば、大きくかわる!!!
  
  未熟であっても、急速に変わりうる!

学会の評価
 いろいろ文句はあるが、
 安全性を考えたとき、
 専門医がいなければ、危ない!
 
まとめ
 そういった構造の部分、きちんとすべきでは
 学会の認めた専門医
 利用すべき!
 
  アウトカムは、どうせきちんとしたものはとれない
  まずは構造からだ

医療評価機構も、プロバイダーからうまれたもの
日本の風土にあったものになっているはず

主役を入れ替えて一から考えるはず

評価システム
 いろいろ病院の中で行っている

医療機関と患者様が、同じ方向を向くべき
win-winの関係であるべき

自分、二日間コーチングの研修を受けた
 亀田ではコーチングを導入している
 モチベーションが下がれば、患者様に迷惑がかかる!


評価本
 減点法はやめてほしい
   病院のモチベーションがさがる
 評価は成長のためにある
   病院の成長は、社会にとっていいものになる
 加点法のような形を入れて、切磋琢磨ができれば。

→スライド資料へ

DPC
 データ収集と比較の鍵にこれからなりうる
 まだまだ未熟ではあるが

社会の成長のための評価にしてほしい


1117 ディスカッション

●埴岡へ
 病院という箱
 医師個人のスキル
  それらをどういう基準で判断できるか
  安全や質を測ることが必要
  どう質を?

→(埴岡)
 専門医制度、大切だと思うが、悲観的
 内部事情があるから 
 
 例 癌の専門医 郵送のテスト
  症例数も制限なし
  質を高めることができていない

 「その制度にしたら私は専門医をとれない」
 「救済します」
 というやり取りが…
 
 今の学会のリーダーシップと 医師の質では無理だろう

→(長谷川)
 学会は、いままで研究発表の場だった
 しかし、その領域における社会的責任を持ちつつある
 
 これから専門医は見直されると思う

 アメリカでは、医師が病院に所属していないから
 なかなか質を測るのが難しい
  しかし、術後のケアは病院
  二つを分けるためには、かなりのボリュームが必要
 
 たとえば、ある病院は300人が複数の病院をまたがっていたし

 でも、日本の場合は病院で判断していいのでは?


●名医を評価してくれ、といわれる
 世間にある名医本はどうなの?

→埴岡
  たとえば、骨髄移植
  患者団体と付き合いがあると、かなり紹介がおこなわれがち
  それは、よくもわるくもある
  進めている人が対して根拠がなかったりする
  結果も実績も分からない

→長谷川
  自分は否定的
  今は、チームで医療ができるのだ
   医師だけの評判は危険
  個人をどう評価するのは、なかなか難しい
  医師と患者には、相性がある

→亀田
  医療は一人でやる時代ではない
  科別・疾患別データが究極のデータになるだろう
  病院、というよりもその二つ、DPCの成績、がいいだろう

●広告の規制
  PRなどができるようになったら、医師病院はどう対応する?

●評価を分かりやすくして、患者さんにも分かりやすくすべきでは?

→埴岡
 患者団体も、自分たちでアンケートをとるなど努力するべき
 ランキング本についても読者が努力するべき
 データ集積・加工機能
   重要になるはず
 上からランキングを出しても、もっと深い情報にするための
 コミュニケーションが。
  win-winはそこから生まれる

→亀田
 どんなデータを患者様にだせばいいのか?
 参加型にするためには
 読み取れるかは別として 生データが重要
 患者様にがんばっていただくことが大切
 
 今、フォーマなどで見れたり書き込めたり、としている
 それをどう利用できるかは患者様の問題
 
 日本は、極端に中央集権化されているから、本来はデータは集まりやすい

 
 忙しい中データを集めているのに、活用されないデータ
 なんで開示しないの?
 「そんなことしたらたいへんだ」という
 だったらとらなきゃいいじゃん!
 
 あるデータを、主役の視点でどう使うか、
 考えるのはすぐにでも始められるだろう

●患者団体がもっと加工していくべきだという話があったが、
 患者団体でそのような活動は、できているのか?

ユニークフェイス
 プライバシー情報がもれることを恐れている
 会として、病院別満足度調査は手がけていない
 大学のような第3者を入れていきたい
 
 それだけ、情報がもれるという心配が、先立っている
 (会員の8割が女性)
 
 メイクアップについては、
 医療のような侵襲行為がないので
 噂話でもしゃべっていたのでうまく取れた
 
 疾患別 に 心理的バリアー

→長谷川
 どんな視点が知りたいのか
 一般論でない評価を考える時代になってきたのでは?
 多分パターンができるはず

医療機関から情報を集めるインセンティブのつけ方
 感染率5%の病院が、情報をだすのか?

●評価にはお金がかかる
 日本ではどうやったらいいのか?
 アメリカではどうなのか?

アメリカではがんの認定病院が厳密にある
 なっていなければくっていけない
 評価される

 データをとるインセンティブは、保険点数につけるべき

→亀田
 現実には、治療法もすごい勢いで変わっている
 後で評価したいということが
 
 能動脈瘤
   日本ではクリッピング
   ヨーロッパ・アメリカではコイリング
 
 フレキシブルさが求められる
 評価もフレキシブルでなければいけない
 
 情報開示も点数に含むようにすれば
 
 プライバシーについてはガイドラインがでた
  属性情報をはずせば呈示していいとなった

→長谷川
 情報はカネがかかる
 日本では、アウトカムの情報をとることを始めに考えていないので
 カネがかかる
 
 が、はじめから情報があがるようにしておけば、自然と集まるはず
 
 日本の今のITは、昔の指針でまとまっている
 だから、カネがかかる
 
 ビジネスモデル
  そういった情報を誰がカネを出すのか
  集めた情報を売れるようにならないか
  
  質・満足度は市場にまかせる

 行政モデル
  安全は、行政が管理して

●スタート地点の違い
 例)がん治療
  EBMにもとづいていれば、評価はいっしょでいいだろう
  しかし、そうでないときに結果だけでみていいのか

●治験・臨床試験
 なぜこれだけ日本ではやりにくいのか
 治験が評価されない
 医療機関が必死でやるインセンティブは?

 スタートをそろえずにアウトカムだけでやっていいのか

→長谷川
 婦人科のグループ がまずやった
  5年生存率をしらべた
  ばらつきを証明した
 
 その次、なんでばらついているのか調べた
  結論→治療方法がばらばらだった

 今、セカンドベース
  全員を同じプロトコールにした

 「スタンダードでないから評価して
  スタンダードに持ち込むべきでは」

●医療の質の評価の本当の目的は、
 「医療と医学の質を上げること」
 人間はみんな病気で死ぬ
 医師にフィードバックをかける軸は大切

 CPC 剖検の件数
    病理所見 医者同士が検討しあう件数
  医療者と患者の関係がしっかりなければできないものであるし、
  いい評価軸になるだろう

→亀田
 剖検は、以前と比べると、
  画像診断があまりにも発達した
  手術すると剖検の医学的な意義がへった
 
 「そんなことしていいの?」
 「もっとナチュラルでいいのでは?」

 モタリティカレンダー
  たしかに大切
 
 モビリティカンファレンス
  やりたい!! 本当に大切
  が、日本ではディスカッションがへたなので、
  怒鳴りあい、罵倒しあいになる
  チェアマンが必要
  これができるのは、すごい病院

→長谷川
 ファースト
 セカンド
 サード : 自分自身の診療行為をハーバードの医者が評価した
      外科学会に評価を頼まれた(1910年代)
      M&Mが重要とされた

  近代病院は、非常にあたらしい!
  1910に初めてできたもの
  
  自分自身をチェックして、評価する近代病院は、いまだ日本にはない

→埴岡
 B&Bプレーヤーがいる可能性を、真剣に考えないといけない
 どうやって考えていくのか?
  患者も、医療者も…
  よいものをよくしていかないと…
  
 医療界は、モニターされていないところがある
 自分たちがうまくいっているのかうまくいっていないのか、分かっていない
 
 抽出できるように動いていくことが、大切
 数だけで測ることは、ある意味罪作り

→長谷川

 ただ、癌は難しい…
 5年前の話をしなければいけない
 しょうがなくボリュームでやるしかにないでは?

→埴岡

 前にうまかった人が下手になる可能性はないのでは?
 
→長谷川

 勉強しなくて質がさがることもありうる

 当面の評価は、なかなか難しい

→埴岡

 上から線引きは難しくても、
 モニターはしていきたい

→亀田

 日本では、科・疾患 別に評価はするべき
 が、チーム・医師ががらりと変わることはある
 
 亀田はど田舎にある
 COE
 チームごと作り変えることある
 それを分かりようにするのが、自分の仕事

→長谷川

 プロセスのインジケータ
 
→埴岡

 癌も1年・2年という治療率が逆転することはない
 
 日本はもしかすると、
 成績を出し合うことで、
 ローコストな医療ができるようになるのでは?

 質を測って伝えるようにしたい

→長谷川

 日本は、他の産業界では世界一の品質管理の国
 もっとも文句いうからだ
 
 だが、医療の質にはなぜ文句をいえなかったのか?
 世界でもっとも知的な国
 
 アメリカでは、字を書いても理解してくれないから、たいへん…
 
 ホームレスが新聞を読んでいてびっくりする外国のジャーナリスト
 なんでこんな状態なの?

 →【軍人医学】
  民族レベルでの刷り込み
  
  しかし、そういった人がそろそろ「リタイア」される
  カスタマーが変わっていく
  今と違う関係が、医療におこるだろう
  今、用意しないといけない段階にあるだろう
  
  横市をきっかけにこれだけ変わったのは、そんな状態があるだけだ

→埴岡
 データをどう加工するかは、
 患者団体・マスコミがつくっていくべき


ランキングを作った人からの、これからの課題

週刊朝日

なぜマスコミがランキング本をつくったのか?

自分も三つの立場
 大学病院の看護師
 家に患者がいる
 記者である

統一見解がない!
 ラインをかえるのが朝であったり…(ひとをころすよ!)

病院には違いがある、という基本概念を数で表すことをしたかった

症例数は、まず、の一歩であった
次に、5年生存率をだしたい

患者は、5年生きればそれでいいのか?
どうやって治療をうけたけっか、人生をまっとうできたのかという
声が、患者さんからあがらなかったのが以外だった

医者に、
医学的根拠の前に、客観的指標があるのか?

大腸癌の手術数
 「ポリープといっしょの数しかないよ」
 という病院
 「手術数は7位だけれどレベルは1位だよ」
 という病院

バイパス術
 人工心肺つかってプラス200例

症例数を集めるだけでも、それくらい難しい…

ランキングは将来的にはなくなるのがベスト
それぞれの立場から出すべき

◆渡辺

質を評価したいが、マスコミでは数が限界
統一がないから…
「正しく正確な情報」はむずかしい
学会にがんばってほしい

症例数は、一歩
データで評価しようという風穴

しかし、病院総合力で最後には考えたい

ケア力
 看護力
 それをなんとか出したい

◆福島

ランキングがはやっていないころに、手術数を調べた
先生から強い反発
カルテをひっくりかえさないとわからない、
IT化がこれだけ進んでいるのに…

標準治療についてもきちんと見ていきたい

◆前村

ランキングでなく、実態調査が大切である
スタートは個別性
しかし、共通なものを明らかにすべき

ふつうのマーケットであれば、市民が選ぶのだが…

公的保険でやっていくのであれば…

新聞では限界があるので、しょうがなく、分かりやすくしている

日経さんだったらきちんと実態をだそう、と少しずつ変わっている…



まとめ
4つのスタークホルダーがいるここで、何が生まれるのかをこれから考えてみたい