『オンリーワン』、ということ

『ナンバーワン』と、『オンリーワン』という言葉が良く比較される。
それって、違うとぼくは思う。


『ナンバーワン』というのは、特定のルール・ものさしの上で一番前にいるということ。いちばん強力だとということ。そこには権力とお金が集まる。いわゆる「成功」というやつだ。ひとに賞賛され、憧れられる。レールの上で競争しているひとたちは、これを目指して突き進む。
けれど、正直、偏差値の低い高校を出て、仲間のうちで大学出たのはおれだけ、という環境から医学生という世界にきて思うのは、それって、どれだけえらいことなのかな?という疑問。ふつうのひとたちが、ふつうに生きて、ふつう、という日常の社会ができている。『ナンバーワン』じゃなければほんとにだめなのかなあ?



そして、『オンリーワン』。
『オンリーワン』という地位って、勝ち取るものでは、ないはず。『ナンバーワン』とは本来次元が違う尺度なはず。
『オンリーワン』とは、どれだけ必要とされるか、おまえという人間がいいと他人に言われる、ということだからだ。

どれだけすごいか、は、『オンリーワン』ではない。

どれだけひとに与えてきたか。
どれだけひとに与えたいか。
その積み重ねの結果として、どんなひとに、どれくらいのひとに必要としてもらえるのか。


それが、『オンリーワン』ということ。自分を見つめるのではなくて、社会を見つめ、ほかの人を一生懸命見て、尽くして、そして気づいたらいるのが、『オンリーワン』という場所。



だから、『ナンバーワン』、とは、まったく違うものが、『オンリーワン』。
まあ、競争に勝つ、という「遊び」は楽しいし、生き残るためには勝たなきゃいけないことも多いけれど、でも、よりたくさんのひとと楽しく生きていきたいから、与え続けるという意味で『オンリーワン』という生き方を、僕は目指したい。